2023.03.01
不正防止の為の有効な方策はいくつか考えられますが、前にも述べましたように、まずは経営者が常日頃から不正による利益は要らないと組織に向かって訴えることです。それを前提として、二つ考えられる方策を記載します。一つは、海外子会社に社長や財務責任者として赴任される方に、事前に現地での不正がどのような手口で行われるケースが多いのかを過去の事例から分析し教育することです。東南アジアや中南米などそれぞれの地域で傾向があるはずです。事前にどこに注意すればよいのかの勘所がわかれば自信をもって海外赴任できるはずです。もう一つは、国内海外に限らず、不正をしても直ぐ見つかるということを管理者や従業員にわからせることです。例えば、各子会社や事業部門での月次事業管理会議の中で、滞留債権、滞留在庫、収益計上済未請求残高、売上の月末集中度など、不正の兆候を示すデータを共有することです。そのような異常点をモニタリングする取組が行われていれば、不正をやろうとする者への牽制となります。どのようなデータを共有することが有効かは、子会社、事業部門によって異なると思われます。最近では監査法人でも、データを活用してタイムリーに異常性を検出するなどの取り組みをしています。ポイントは不正はすぐ見つかると思わせ実行をあきらめさせることです。